循環器・呼吸器科

心臓・呼吸器科

こんな症状ありませんか?

  • 呼吸が荒い
  • 咳をする
  • 疲れやすい、よく寝ている
  • 心臓に雑音があると言われた

上記のような症状があった場合、以下の病気が考えられます。

特にシニア犬(7歳以上)では心臓病の割合が非常に高いですので、注意が必要です。

犬と猫の心臓病とは?

ペットの高齢化に伴い、犬の心臓弁膜疾患(僧帽弁閉鎖不全症)が増加しています。
特に小~中型犬では、心臓病の発生頻度・重症度は加齢に伴って増加・悪化するため注意が必要です。

猫の場合では肥大型や拘束型の心筋症が多く認められます。
特に、

・アメリカンショートヘアー

・メインクーン

・スコティッシュホールド

などの猫種に多く認められます。

心臓病は初期の段階では症状が出にくい病気で、症状が出てきた時には病気が進行していることが多いのが特徴です。

このため、飼っているワンちゃんが高齢(7歳以上)になったら、症状の有る、無しにかかわらず、定期的な来院をお勧めします。

また、ネコちゃんの心臓病の場合、聴診だけで心臓の異常を検出することができないこと、心筋症は全年齢で発生しうるといった特徴があることから、年をとる前であっても心臓検査をお勧めします。

 

心臓病の症状

肺水腫を引き起こした犬のレントゲン画像

肺水腫を引き起こした犬のレントゲン画像

胸水貯留を引き起こした猫の肥大型心筋症のレントゲン

胸水貯留を引き起こした猫の肥大型心筋症のレントゲン

初期の臨床症状は軽度であるか、あるいは見られない事が多いです。
心雑音のような異常な心音は最初の徴候です。
心臓病の進行に伴い、
・失神
・いつもより呼吸が速い/息切れする/パンティングする
・体重減少
・咳(特に夜間)
・活動性の低下

などの臨床症状が現れます。
重度の心臓病では、最終的に肺水腫を引き起こし、心臓でうっ血が起こります。

咳は心不全の徴候と考えられていますが、心不全ではなく、呼吸器疾患に罹患しているケースもありますので鑑別が必要です。

 

僧帽弁閉鎖不全症の診断

心雑音があり、僧帽弁閉鎖不全症を疑う場合、診断を確定するためにいくつかの検査を行う必要があります。

・超音波検査(エコー検査)
・レントゲン検査:心臓の大きさや肺に水が溜まっていないかを確認します
・血圧測定
・心電図
・血液検査(NT-proBNP、ANP)

僧帽弁閉鎖不全症は、A~Dまでステージが分類されています。

A 僧帽弁閉鎖不全症になりやすい犬種(キャバリアなど)で、現在問題の兆候がない(雑音や症状がない)場合。
B1 心雑音はあるが、心臓病の症状はなく、超音波検査やX線検査でも変化がない場合。
B2 心雑音が聞こえるが、心不全の症状はなく、心肥大がある。このステージから、心臓の薬を開始する必要があります。
C 心臓病が悪化し、心不全の兆候が明らかになります。(例:咳、散歩が遅くなる、失神)
D  治療に反応しない末期の心臓病です。

僧帽弁閉鎖不全症の治療

僧帽弁閉鎖不全症の治療は以下の薬剤が基本となります。

ピモベンダン いわゆる強心薬です。カルシウム感受性を高めて心筋の収縮力を増加させ、血管拡張を行います。ピモベンダンは、心不全の犬の生存率を大幅に向上させます。
ACE 阻害薬 ACE阻害剤は、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系に直接作用し、心臓のうっ血を抑制することができます。
利尿薬 軽度の心不全の犬には0.5〜2mg/kg/day、重度の症状の犬には4〜6mg/kg/dayを投与する事が一般的です。生死にかかわるような心不全の犬には、2~4mg/kgを2~4時間ごとに静脈注射します。
アルドステロン拮抗薬  アルドステロン拮抗薬はレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系を遮断し、適度な利尿作用をもたらします。ヨーロッパの研究では、2mg/kgを投与することにより、心不全の犬の生存率が有意に増加することが示されています。

循環器検査の流れ

step
1
問診・身体検査

まずは、しっかりと問診を行います。

身体検査で心拍数・呼吸数・心臓の雑音などを詳しく聴診します。

step
2
レントゲン・超音波検査などの画像検査

心臓病の診断には画像検査が必須です。

ワンちゃん・猫ちゃんに負担がかからないよう丁寧に検査を行います。

step
3
血圧・心電図測定

心臓病が進行していると、心電図や血圧に異常が認められることがあります。

興奮してしまうと血圧が上昇してしまい、正確な値が測定できませんので、安静な状態を保ちながら検査を行います。

step
4
結果のご報告

上記検査のご報告を飼い主様へ分かりやすく丁寧に行います。

心臓病のステージが進行している場合や血圧などに異常が認められた場合、お薬を処方します。

 

肺炎

肺炎とは、肺の中にある肺胞と呼ばれる小さな袋やその周辺に炎症を起こす感染症です。肺炎の原因の多くは、ウイルスや細菌感染ですが、寄生虫によるもの、また、刺激性の薬物やガスを吸い込むなども原因になります。

犬が肺炎になると、咳込んだり鼻水が止まらなくなったり、また、咳が出ず、苦しくて震えることもあります。さらに、重症化すると呼吸困難を引き起こし、命にかかわることがあります。

ケンネルコフ

ケンネルコフは、しっかりとした免疫力のある成犬では感染しないようなウイルス・細菌が、免疫力の未熟な子犬(生後6週間から6ヶ月)に感染してしまうために起こる呼吸器疾患です。

感染経路は、ケンネルコフに感染している犬の鼻水・くしゃみ・咳を直接浴びてしまうことで、容易に感染してしまいます。

ケンネルコフの症状は

・繰り返す咳

・膿のような鼻汁や目脂がでる

・高熱

・呼吸困難

・食欲低下

・肺炎

があります。

ケンネルコフは、初期症状がでるのに3日から7日程度の潜伏期間があります。

潜伏期間が終わるとケンネルコフが発症し、初期症状が出現します。

初期症状としては、くしゃみや咳を1日2、3回するレベルですが、重症化し末期症状になると、1日何十回も咳をし、高熱が出て、肺炎となり、食欲がなくなり、ぐったりしてしまうことがあります。

気管虚脱

犬の気管虚脱、気管支虚脱は、気管や気管支が潰れ、空気の通りが悪くなり、呼吸困難を引き起こす病気です。この病気の主な原因は、気管の軟骨が先天的に弱い場合や発育異常、または、肥満・加齢によって気管の周囲の筋肉で弱まってしまうためです。犬の場合、7~8歳くらいの中高齢、ポメラニアン、ヨークシャーテリア、マルチーズ、チワワ、プードルといった小型犬での発症が多いとされています。

症状としては、咳のように見られますが、フガフガする、ヒューヒューという音がするのが特徴です。

気管虚脱や気管支虚脱は呼吸が苦しくなるため、多くの場合、犬は口を大きく開けたり、舌を突き出したりするようになるのです。また、症状が治まってもだるそうな様子が見られます。

逆くしゃみ

逆くしゃみは生理現象です。

数秒から1分程度で落ち着くことが多く、症状が治ると何事もなかったのようになります。

 

 

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