ノミ・ダニ予防

ノミ・ダニの予防していますか? ~ヒトにも感染する新しい病気が増えている!?~

 

 

みなさんのワンちゃん・ねこちゃんはノミ・ダニの予防をしていますか?

「外にあまり散歩に行かないし大丈夫かなぁ」「ノミ・ダニに噛まれたことがないから大丈夫」と思っている方も多いと思います。
しかし、近年、薬剤耐性ノミが出てきたり、マダニから人・犬・猫に感染する怖い病気が出てきたりなど新たな問題がみつかってきました。
そこで今回は、ノミ・ダニが媒介する感染症についてお話したいと思います。

ノミ寄生とノミから感染する病気

● ノミの寄生
ノミは体長2mmほどで茶褐色左右扁平の昆虫で、体表に寄生し吸血します。
犬猫に寄生するものはネコノミとイヌノミが知られていますが、その多くはネコノミによるものです(ネコノミは犬に感染します)。ノミに噛まれると直接的な痒みに加え、ノミの唾液成分に対してアレルギーを起こして全身性の皮膚炎を起こすことがあるので注意が必要です。被毛の根元に黒い粒がみられたら、それはノミの糞かもしれません。糞は乾燥した血液を含んでいるので、その粒を紙にとって濡らしてみると赤いシミが広がっていきます。予防・治療ともにノミ予防薬が有効です。

 

● 瓜実条虫症(サナダムシ)
グルーミングなどで瓜実条虫(サナダムシ)の幼虫を持っているノミの成虫を誤って口から取り込むことで感染します。通常は成虫が寄生しても無症状のことが多いですが、多くの成虫が感染してしまうと下痢を起こしてしまうことがあります。犬・猫だけではなく人にも感染するので、犬猫のノミ予防・駆除が必要不可欠です。既に感染してしまった場合は瓜実条虫に対する治療が必要になります。

 

ダニ・マダニから感染する病気

● ミミヒゼンダニ(耳ダニ症)
犬・猫の耳の中に寄生するダニで、黒っぽい耳垢がたくさん出て、とても痒がります。集団で飼育されている子犬や屋外に出る猫などで発生が多いです。治療はミミヒゼンダニに有効な予防薬(レボリューションなど)を使って駆虫します。

● マダニの寄生
マダニは動物の血液を栄養源として繁殖・活動しています。幼ダニ・若ダニは成長のために吸血し、成ダニは産卵のために吸血します。動物や人は噛まれたことに気づかないことが多く、成ダニだと2~3週間は吸血を続けます。吸血したマダニは1円玉くらいのサイズまで膨張し、この時にマダニに咬まれていると気づくことが多いです。犬猫ではマダニが大量寄生することで貧血になってしまうことがありますが、気を付けなければいけないのはマダニに咬まれることでマダニが媒介する感染症にかかってしまうことです。気温が13度を越えるとマダニの活動が盛んになりますが、近年暖冬の影響もあるので冬でもマダニに咬まれる可能性があります。そのため、マダニ予防は1年中行うようにしましょう。

● 犬バベシア症
マダニが媒介する原虫という寄生虫で、マダニに噛まれることで犬の体内にバベシア原虫が侵入して赤血球に感染します。九州や沖縄といった西日本で発生が多いですが、東北地方でもバベシアが分布しているので注意が必要です。感染した赤血球は破壊されてしまい、発熱、貧血、黄疸、血尿(血色素尿)を起こし、死亡することもあります。マダニが48時間以上吸血すると感染すると言われているので、マダニに有効な予防薬を投与することで感染を防ぐことができます。感染して発症してしまった場合は抗原虫薬を投与する必要があります。

● 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
2011年に中国で発見されたマダニ媒介性の新しいウイルスです。日本でも発生があり、九州や四国などの西日本で年配の方が野山へ山菜採りに行った時にマダニに噛まれることで感染する例が多いです。人に感染すると6~12日の潜伏期間を経て、発熱、筋肉痛、頭痛といった症状が始まり、皮下出血や下血、意識混濁など重症化することが多いです。まだ解明されていないことが多いウイルス感染症ですが、50代以降の方で致死率が高く、現在、世界における致死率は10~30%と非常に高いことが分かっています。また、犬猫に感染する事例もあり、致死率は猫で60~80%、犬で29%と言われています。最近では、SFTSを発症した犬猫に咬まれたり、触れたりなどした人が感染したという報告もあるので、マダニだけではなく動物から人へ感染するということにも注意が必要です。有効な治療薬がないので、発症してしまうと点滴などの対症療法で回復を待つしかありません。マダニに有効な予防薬を投与すること、草むらで散歩するのを避けること、散歩中は長袖・長ズボンを着ることが重要な対策になります。

 

最後に
今回はノミ・ダニからワンちゃん・ねこちゃんに感染する病気についてお話しました。最近では人にも感染し、致死率の高いSFTSが問題となっているので、ますますノミ・ダニ予防が重要になってきます。愛する「家族」だけではなく、「自分」も守るためにもワンちゃん・ねこちゃんのノミ・ダニ予防は1年中行いましょう。

© 2020 横浜どうぶつ医療センター|関内どうぶつクリニック